忍者ブログ

月灯りの下

闇の世界に差し込む光を追い求めて

[18]  [19]  [20]  [21]  [22]  [23]  [24]  [25]  [26]  [27]  [28

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

スガリ

始めから無いものを探し続け

始めから無いものを求め続けて

始めから無いものを追い続けていた


それは、儚い夢


探す前から

求める前から

追う前から

そんなものは存在しないと気付いていたなら

こんな無駄な夢を描くことも

こんな哀しい期待を持つことも


なかったのかな?


でもきっと、始めから気付いたとしても

無駄な夢だと分かっていても

探して、求めて、追い続けて

淡い期待を抱き続けるんだと思う


だって、僕は

バカで欲深い、弱い人間だから

無駄な夢だろうと

消えそうな望みだろうと

縋り付いてないと

闇へと堕ちてしまうだろうから―――――――――
PR

積もる言葉

言いたかったのに飲み込んで
雪のように、胸に、心に積もっていく言葉たち
そんなに溜め込んでしまって
一体どうするつもりですか?

そんなもの、集めたところで何も生まれてこないことを
もう解ってる筈でしょう

抱え込む必要がないものを
抱え込んでしまったなら
それは降ろしてしまってもいいものだ

一人で降ろせないのなら
誰かに手伝ってもらえばいい
ふと頭に浮かんだ人物
その人なら、きっと一緒に降ろしてくれる
その人に、全てを吐き出してしまえばいい

「嫌われてしまうかもしれない」と思っても
それを判断するのはその人だから
話してから考えればいい
今はこれ以上、考える必要はないだよ

その人が頭に浮かんだということは
その人なら、受け止めてくれる
一緒に降ろしてくれると
何処かで思ってるからでしょう?

自分の直感を信じなさい

居場所のひとり

あそこは私の居場所だった

誰も知らない、私だけの居場所

別に、あの子が嫌いなわけじゃない

だけど、怖い

私の居場所が、取られてしまう気がして......怖い


バカだと思う

私の居場所に、あの子を招いたのは自分なのに

誘った時は何とも思っていなかった

でも、後から怖くなった

後の祭り、後悔先に立たず、自業自得

そんなことは分かってる

分かっていても、この恐怖を拭い去るような理由にはなり得ないこともまた事実


あの場所だけが、私が求めいていた場所なのに

私を迎えてくれる、暖かい、光ある場所

たとえ私が勝手にそう思って、勝手に居場所にしていたとしても

それでも、私の居場所だと思いたいところ


ひとりが好きなくせに、ただ仲がいいからと

それだけの理由で一線を越えた結果がこれ


今ものすごく、ひとりでいたい
そう思う


――――――あぁ、そうか

私が、ひとりが好きなのは

私が、ひとりでいて安心するのは

居場所を取られる心配がないからなのかもしれない


(だとしたら、矛盾しているね)
(だって、大切な人が)
(好きな人がいる場所が、自分の居場所なんだから)

僕たちの世界

僕は屋上へと通じる扉を開ける。
そしてあの日、彼女に見惚れた場所であり、始まりの場所―――給水タンクのおかげで出来た陰へと迷いなく歩みを進める。
近づくにつれて足から徐々に見え始める。
僕は彼女の隣まで来て声を掛ける。

「お邪魔するよ。……寝てる?」

僕はいつも同じように声を掛ける。
ここが屋上で学校の所有物であったとしても、彼女にとってはここは大事な居場所だ。
一緒にいるようになってわかったのは、彼女は"ひとり"が好きな分、自分の居場所を大事にするということ。
だからそこに入れてもらうようになってから、僕はいつも最初にこの言葉を言うことにしている。

『……やっぱりな』
「起きてたんだ。っていうか、何が?」
『いや、こっちの話だ』
「?」

彼女が言った『やっぱり』という意味が分からなかったが、気にしないことにした。

「授業、もうすぐで始まるよ。今から戻れば間に合うから戻ろう」
『……今日はいいや』
「そう言うと思ったよ」

僕は寝転んでいる彼女の隣に腰を下ろす。

『お前は戻らないのか?』
「うん、ちゃんと先生への言い訳は適当に見繕っとくように伝えておいたから」
『そうじゃなくて、人に戻れと言っておきながら自分は戻らないのかってこと』
「それはそうだけど……今日は君と少しでも長く一緒にいたいから」
『……また、わけの分からないことを』

照れてるような、嫌がっているような、入り混じった声で言う彼女が僕には可愛いとしか見えなくて、本当に僕は病気だなと思う。

僕たちの間を気持ちのいい風が通り過ぎる。

「そういえば、さっき授業中寝ちゃってさ」
『知ってる。見えてた』
「え、なら起こしてよ!」
『何で俺がそんな事しなきゃいけないんだよ』
「ケチだな~」
『うるさい。で、話の続き』

彼女に文句を言っても仕方がない。寝てしまったのは僕の責任だ。
彼女に促され続きを話す。

「でね、昔の夢を見た。君とここで初めて会った時の夢」

懐かしいでしょ?、という僕の顔を寝転んだまま驚いた顔で見つめてくる彼女に気付き、如何したのか訊いてみる。

『……俺も見た。ついさっき』
「え、嘘、本当!?うっわー、すごいね!!偶然って言うか」
『気持ち悪い』
「えぇッ!!」

「偶然って言うか、運命かな」なんて、自分でもちょっとクサイかなと思いつつ、言おうと思った言葉は彼女のその一言で見事に砕かれた。

「ちょっと、何でそんなこと言うの!?」
『だって、気持ち悪いじゃないか。ほぼ同じ時間に同じ夢を他人が見ているなんて。偶然にしては出来すぎてるだろ』
「そうだけどさ~」

そこまで言われるとさすがの僕も傷つくというものだ。

『……でも、まぁ、嫌な夢じゃないからいいか』

・・・・・・・・・。
あぁ、やっぱり僕は病気だな。
その言葉だけで彼女の言葉に沈まされたにも拘らず、彼女の言葉によっていっきに浮上させられた。
僕に出会った時の記憶は、彼女の中で"嫌なもの"に部類されていない、それだけで嬉しいと思ってしまうなんて、本当にどうかしている。

『……あれから、結構経つのか』
「うん、そうだね」
『お前がここに現れるまで、ここは俺だけの世界で、俺"ひとり"の世界だった』
「うん」

そんな事知っている。知っていて僕は、敢えてそこに踏み込んだ。
彼女の事が知りたい、その一心で。
彼女に嫌われるかもしれないと思ったこともあるけど、『俺の邪魔じゃなければ構わない』とあの時彼女は言った。
彼女ならきっと、邪魔なら邪魔だと教えてくれるだろうから、今のところは邪魔になってはいないのだろうと勝手に結論付けて、僕は彼女の世界に踏み込み続けて今日に至る。
今だって本当は不安だったりするわけで……

『けど、お前が現れてから、お前と関わるようになってから、ここは俺だけの世界じゃなくなった。そんな気がする』
「え」

意外だ、彼女からこんな言葉が出てくるなんて。
僕は驚いて彼女を見た。
だって彼女は素直じゃないから。

「どうしたの、君がそんなこと言うなんて」
『……お前と同じ夢見たせいでおかしくなっちまったんだ、きっと』

彼女はごろりと寝返りを打って僕に背中を向けながら、まだ同じ夢を見たことを引きずっている。

「まだ引っ張ってたの、それ」
『その世界を、悪くないと思ってる俺も、いる。お前のいる世界も、落ち着く』
「……え」

風に乗って届いた彼女の囁くような小さな声に、僕は耳を疑った。

『あ~、昔の夢と一緒にいろんなこと思い出したから頭がおかしくなったんだ!忘れろ!!』

やけくそに叫びながら背中を丸める彼女が可愛くて可愛くて仕方がない僕は笑ってしまった。

『笑うな、バカ!!伸されたいのか!?』
「はいはい、そういう物騒なことは言わないの。僕も、君の世界に、君の隣にいるとすごく落ち着くよ」
『~ッ!!もうお前しゃべるな!!』

彼女は一層身体を丸め、照れてるのを隠そうと頑張っている。
けど、残念ながら耳まで真っ赤だ。
でもあんまりいじめると後々大変なのでここで止めておく。

それっきり黙ってしまった僕と彼女を包む沈黙。
でも嫌な沈黙じゃない、心地いい沈黙。
こんなゆったりした時間がいつまでも続けばいいのに。

「たまには君と一緒に授業サボるのも悪くないな」
『珍しいこと言うな、真面目なお前が。お前まで頭がおかしくなったか?』
「うん、そうかも。でもそれは夢じゃなくて君のせいだけどね」
『人のせいにするな』
「イテ」

彼女は背中越しに小さな石を投げてきた。
その石はきれいに僕の頭にコツリ。
この大きさなら痛くないけど、反射で言ってしまった。
でも、彼女は背中に目でも付いているのだろうか?

『……だったら、ずっと傍にいればいいだろ』
「ん?――――――あぁ、うん。そうだね、そうさせてもらおうよ」

行き成り言われた言葉が分からなかったけど、どうやら話を戻したらしい。

言われなくても、彼女に『邪魔だ』と言われない限りそうするだろう。
だって僕は"独り"が嫌いで、君が好きなんだから。


僕たちは透き通るように青い空と、心地いい風に包まれながら"2人の世界"を感じていた。

俺たちの出会い

あの時の俺は、"ひとり"だった。


あの日も、俺はそこを目指していた。

俺の世界への扉を開くと誰かの話し声。
近づいていも誰も俺には気付かない。
どうやらこれからの予定について話しているらしい、何か奢れだの、ゲーセン行こうだのと話している。
そんなどうでもいい会話なら他所でやって欲しい。
―――――――ここは俺の居場所なんだから。

『おい』

俺が声を掛けると、中心に居た男が振り返る。

「何だテメェ」
『そこをどけ、邪魔だ』

そう言いながらその男に近づくと、ふと目の端に何か映った。
何かを確認しようと目をやると、それと目があった。
それは間違いなく人だった。
こいつ、どこかで……あぁ、確か同じクラスにいた気がする。
さっきここに入った時、倒れてる連中が居たが、どうやら寝ているわけではなかったらしい。
っていうか、こいつ相手にこんなに人数を用意したのか。

『たったひとりをこんなに大勢でやってるのか、情けないな』
「あぁッ!!?」
「行き成り来てなんだなんだテメェ!」

中心に居た男が近づいてくる。

「テメェ、一応女だろ!?だったら大人しくしとけや!!」
『五月蝿い、こんな近くで騒ぐな。それに、「一応」って何だ「一応」って。制服見て分かるだろうが。それともお前の目は腐っているのか?』
「ッ!!女だからっていい気になってんじゃねェぞ!!」

男は俺の胸倉を掴んできた。
あ~、面倒くさい。が、これも俺のためだ。
俺は男の右手首を掴むと一気に捻る。

「グハァッ!!?」

男は地面に転がっり奇声を上げる。
受身も取れないのか、こいつ。

『女とわかってて手を上げるか。多人数で袋叩きといい、ホント、男としても人間としても腐ってるな、根性が』

吐き捨ててやった後、沈黙が少し続いたが奴の仲間ががなりだす。

「テ、テメェ!!何しやがった、この女!!」
『何だ、見えなかったか?投げたんだよ。そんなことより、お前らこいつとそこら辺で寝てる奴らを連れてさっさとどけ。ここは俺の場所だ』

先程投げた男の肩を軽く蹴って、さっさと連れて行けと示す。
が、相手はそうは取らなかったらしい。

「行き成り現れた女が何言ってやがるんだ!!」
「ふっざけんじゃねェ!!」
「いつからお前の場所になったんだ!」

そう言って俺に向かってきた男たちを、結局俺は全員伸す羽目になった。

『まったく、さっさとどけばいいものを』

なんだだかんだ言ってあっけなく伸された奴らの隙間を通り、さっきから俺を見ているクラスメイトに近づく。

『おい』

そう声を掛けても何の反応もせず、俺を見続けてくるそいつ。

『動けるのか?動けるのなら少しずれるかどいてくれ』
「あ、えっと……」

答えに言い淀んだそいつを改めてみると見ると、かなり派手にやられていることに。気付く
これならすぐには動けない、か。

『なんだ、まだ動けないのか。……しょうがないな』

俺はそいつの肩を掴んでずるずると引き摺る。
やっぱ同年代の男子は重いな。

「あ、あの~?」

声が掛けられたが無視し、少し移動したところで俺は手を離し、さっきこいつが倒れていた場所まで戻り寝転がる。
俺とそいつは、少し離れて並ぶように寝ている形となった。
俺は流れる雲を何となしに見上げる。
視線を感じるが気にしない、というか慣れた。
周りからすると、ひとりでいたがる俺は珍しいらしい。
ま、あんなところ見たから余計か。

「あ、あの!」
『ん~?』

声が掛けられ適当に返す。

「助けてくれて、ありがとう!」
『いや、別に。助けたわけじゃない』

これは事実。
俺は自分の居場所を確保したかっただけなんだから。

「……そ、そういえば、僕たちって同じクラスだよね?」

そっからこいつのつまらない質問が口から放たれるが俺は適当に答えた。
適当にあしらっとけば勝手に戻るだろうと、その時は思っていた。

「さっきすごかったね。強いんだね、君」
『お前だって、俺が来るまでにあの人数伸したんだろ。なら十分お前もその部類だろ』
「そ、そうかな。でも僕は、君みたいに綺麗には戦えなかったな~。ま、戦ってる時だけが綺麗だったわけじゃないけど」
『……は?』

こいつは今、何て言った?聞き間違い、いや幻聴か?いや、そんなことはどうでもいい。
俺は上体を起こしそいつを見る。

「あ、やっと見てくれた」
『……お前、今何て言った?』
「綺麗だって言った。最初に聞いた声も、歩く動作も、流れるような動きも、空を見上げてる横顔も、全部」
『……お前の目も腐ってるようだな』
「酷いな~」

苦笑するそいつを無視して空に視線を戻す。
何なんだ、こいつは。意味が分からない。

「……ねぇ、さっき『ここは俺の場所だ』って言ってたけど」
『あぁ、ここは俺のお気に入りの場所であり、俺の居場所』
「居場所?」
『ここしか、俺の居場所はないから』

俺はひとりでいることで、自分のいるべき場所である居場所を失くしていた。

けど、ようやく見つけたんだ。
そこは滅多に人は入ってこない、世界の音が遠くに聞こえて自分だけの世界にいると思える場所。
ここが自分の居場所だと、思える場所。

「じゃあここにはよく来るの?」
『あぁ、だから"いない"だろ』

教室という空間は好きじゃない。
あんな人をまとめた場所に押し込まれていると思っただけで息苦しい。
だから俺はよく教室を抜け出した。
それを気にする者も咎める者は誰も居なかった……先生を除いては。
職業柄、放っておきたくても放っておくことが出来ないんだろう。
気の毒な職業だ。

「じゃあここに来てたんだ」
『友達がいるわけじゃないし、空が好きだし、ひとりが好きだから』

俺はひとりが好きだった。
というより、ひとりでいるのが当たり前だった。

友達が出来ても、そこには壁を感じていた。
何処か違う。俺と、この人たちと。
別に自分を特別視したいわけじゃない。
けど、そんな気がして仕方がなかった。

"相容れない、手の届かないような遠い存在"
そんな風に、眩しいものに見えていた。

それは友達に限って言えたことじゃない。家族にもそうだ。
幼い頃からひとりでいるのが当たり前だった。
当たり前だと思っているから、ひとりでいても何の疑問も持たなかった。
でも、兄弟がひとりにされていないのを見て、自分が"ひとり"であることを認識した。
そんな兄弟を羨ましいと思い、憎いとも思ったけど、自分には複数は合わない、"ひとり"が一番いいのだ、それもまた真実であり、おれはそれを理解した。

"空が好き"と言ったが半分嘘、嫌いでもある。
どれだけ頑張って手を伸ばしても、決して手の届かない存在。
だから余計な夢を見る必要がないと教えてくれる存在。
それが"空"。

「……ねぇ、僕もこれからここに来てもいいかな?」
『何だ、行き成り』
「ダメ、かな?僕は君の事、もっと知りたいんだ」

"知りたい"?俺を?何のために?

『……俺の事なんか知ってどうするんだよ』
「どうするって言われても困るけど、気になっちゃったから。惹かれたんだ、君に。だから、知りたい」

……そんなこと、初めて言われた。
こういう時は何て返せばいい?
分からない、言っている意味も、返事の仕方も。
――――――――――でも、嫌じゃないと思った。

『……そういうの、何て答えればいいんだ?』
「ん~、僕に訊かれてもなぁ。取り敢えず、ダメかな?」
『別に、俺の邪魔じゃなければ構わない』
「ありがとう!」
『………』

そうだ、俺の邪魔にならなければいい。
俺の世界が守られればいいんだから。
そう思って言った言葉だったのに、そいつの笑顔に毒気を抜かれた。

本当に、意味がワカラナイ………


それからそいつはここへ来るようになった。

前のページ 次のページ


忍者ブログ [PR]
template by repe