忍者ブログ

月灯りの下

闇の世界に差し込む光を追い求めて

[20]  [21]  [22]  [23]  [24]  [25]  [26]  [27]  [28]  [29]  [30

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

異場所

自分の居場所が欲しくて

自分のいる、確かな足場が欲しくて


部屋いっぱいに、自分の物をぶちまけた


自分の物に囲まれて、

ここは自分の居場所だと、

自分の居場所なのだから、自分はここにいてもいいんだと

思いたかった

けど、物をぶちまけてみて分かったこと


ここに、僕の物は何一つないってこと


あそこに転がる本も

向こうから僕を見つめるあの人形も

そして、自分の居場所だと思いたかったこの部屋も

全て誰かから与えられた物だったってこと


結局、ここに僕の物は何一つない

結局、ここには僕の居場所はない

PR

『――――――ねぇ』

後ろから声を掛けられた。
誰だか何て声で分かる。

「な、」

振り向いた次には、

「に……」

勢いよく、抱きつかれていた。
というと語弊がある。
激突に近いものがあるかな、これは。

「え、ちょ、な、何!?どうしたの?いきなり」

びっくりした、と焦りながらも紡いだ僕の言葉を

『うるさい、黙れ』

理不尽な言葉で一蹴した。
僕の胸に顔を埋める彼女の表情は分からない。
泣いていないということも分かる。

けど、泣いてる。
外面的に、ではなく、内面的に―――――――――。

僕は片手を彼女の背中に、もう片方の手を彼女の頭に添える。

「よしよし」

そう言って、頭をポンポンと撫でる。

『……子ども扱いするな。喧嘩売ってるのか、お前』
「子ども扱いしてるつもりはないけど、でも、こうしてほしいんでしょ?」

撫でる手を止め問いかけた言葉に、彼女は肩を震わせることで返事をしてくれた。
普段、表に色々と出そうとしない彼女にしては、分かり易い反応だった。

『……負けるよ、お前には』
「こう見えても僕は、ずっと君を見てきたんだから」
『そういう恥ずかしい台詞を吐くところには絶対勝てないな』

諦めたような声で言う彼女に、胸を張って言ってやると、今度は呆れた声が返ってきた。
そんなに恥ずかしい台詞かな?

『……なんかさ』
「……うん」
『人恋しくなった』
「……うん、わかってる」

こういう僕にだけ見せてくれる弱った姿を、可愛いと思ってしまう僕はもう病的だ。
そしてそれを、嬉しいと思ってしまっている自分はかなり不謹慎な人間だろう。

『……誰かに会って何か話たいと思って』
「……うん」
『一番最初に頭に浮かんだのは………

お前の顔だった』


「……うん、それは、光栄だな」

あぁ、何が[そういう恥ずかしい台詞を吐くところには絶対勝てないな]だよ。

『……だから、』

君の台詞も十分

『今日はずっと俺と一緒にいろ』

う れ し い
恥ずかしい台詞、だよ

僕は彼女の肩を掴んで、身体から離させる。

「わかったよ、お姫様の仰せのままに」
『だ、誰が[お姫様]だ!このバカ!!』

そういった君の顔は真っ赤だっただろう。
夕日が邪魔して、真意を確かめられなかったけど、僕にはみんな分かってるから。

「はいはい、口の悪いお姫様だ」

そう、僕にはみんな分かってる

『うるさい!お前に関係ないだろ!』

だから隠さなくても、いいからね

「関係あるよ。今僕と話してるじゃないか」

僕は君が好きなんだから、君の全てが好きなんだから

『ッ関係ない!!ていうか、その笑顔をやめろッ!!』

だから、僕の前では

「無理。君の態度があまりにも可愛いから」

強がらなくて、いいから

『~~~~~ッ!!お前って奴は……ッ!!』

だから心行くまで

「アハハハハ」

甘えていいよ


――――――――――僕でいいと、君が言ってくれるのなら

むかしむかしのことでした。

『むか~しむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました』

「……」

『おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出掛けて行きました』

「………」

『おばあさんが川で洗濯をしていると、川の向こうから何かが流れてきます』

「…………」

『なんとそれは大きな大きな桃でした。おばあさんがそれを拾おうと腰を上げました』

「……………」

『おばあさんは誰にも見られてないか確認するために周りを見渡し、後ろを振り返ると―――――』

「………………」

『そこには、斧を振り上げるおじいさんの姿が』

ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!

『……おばあさんが最期に見たのはおじいさんの鬼のような形相、おばあさんが最期に聞いたのは自分の断末魔でした』

おしまい、と言って話を終わらせる俺の友人。
っていうか、こんな話した後でも腹立つほどケロッとしてるなぁオイ

「ちょ、お前!!何でそんな平気な顔してるの!?それに何があったのその、夫婦に!!?」

『きっと行き違いがあったんだよ。長年一緒にいると嫌な所ばかり目立つし』

「お前はいくつだ!!……ってあれ?長年一緒にいると?」

『あぁ、最近お前のそのバカさ加減に嫌気がさして――――――』

「俺おばあさんッ!!?」

ああバカだよ!!?確かにバカだけどね!!迷惑も掛けてるけどね!!
だけどさー、

俺、お前に殺意を芽生えさせるほど何かしたっけ?

『……ちなみに、結局拾われなかった桃太郎は鬼に拾われ、鬼と共に世界征服を遂げる』

「無視!!?俺そんなに何かした!!?(泣)ってか、桃太郎がラスボスに君臨すんの!?

『郷に入っては郷に従え』

「そういう問題!!?何だよ、そのむちゃくちゃな話は!!」

『俺にふったのはお前だろうが』

文句を言うな、と睨んでくる友人。
確かに、俺が言ったさ。
いっつも本読んでるし、ミステリとかサスペンスとか好きだしさー。
だから、「昔話を使った怖い話って創れたりする?」って訊いたよ?
訊いたけどさー、

リアルすぎね?よくあるよね?そういう話。身近で起こってもおかしくないような話だよね?

最初は何の変哲もない昔話だったのに、徐々に本当の姿を現してくところが何とも……
しかも、話してる本人は表情一つ変えずに話すもんだから、どこから怖くなっていくのか想像もつかない。
それが倍怖い。

『安心しろ。川で洗濯するようなばあさんも、山へ芝刈りに行くようなじいさんもいないから』

「あぁ、そっかー。そうだよなー……って、そういう問題じゃぁなーーーーーい!!!」

『うっさいなー』といいつつ、席から立ち上がり教室から出て行く。

「あ、オイ!!ちょっと待って!!こんな教室にひとりにしないでェッ!!!」

夕日で赤く染まった教室にひとり取り残された俺は、急いで友人の後を追った。

『人形』だ

守りたいと思ったものも、守ろうとしたものも

大切なものは、みんな持っていかれた

あいつらにも、時間にも


そう思ってた


でも、違ったんだ

守りたいと思ったものも、守ろうとしたものも

大切なもの全部、傷つけて、壊したのは


誰でもない―――――――――自分自身だった


壊すことしかできない俺に、守ることなんて元々できやしなかった

ただ、それだけのことだった

フツウのユメなんて、見れない……見ちゃいけない

ただ、それだけのことだった


望んじゃいけなかったんだ

叶えようとしちゃいけなかったんだ

ただ耐えて、ただ受け入れて、ただ見ていることしかできなかったんだ


嗚呼、そんなのまるでただの―――――――――――――――

真意

時々、不安に思うことがある

俺のことを好きだといってくれる君


それは君の、本心からなのか?


本当は、俺なんかといたくないんじゃないのか?

本当は、俺といても楽しくないんじゃないのか?

……本当は、俺なんかいらないんじゃないのか?

会いたいと思うのに、会うと不安になってしまう

あれから月日は経っている。色々変わっていて、追加されていて当たり前なのに

何故か寂しく思ってしまう


ほんと、情けないったらありゃしない

前のページ 次のページ


忍者ブログ [PR]
template by repe