月灯りの下
闇の世界に差し込む光を追い求めて
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子供の幻想と大人の賢さと
ちらちらと舞い散る桜は俺に別世界を思わせた。
俺の視界には、舞い散る桜とその大元の桜の木、舞い散っている桜の舞台である道一本しか映っていない。
人っ子一人いやしない。
『桜、か……』
こんな幻想的な世界に一人取り残された気分に浸っていると、桜吹雪の向こうに幼い子供2人を見た。
否、正確には―――――視た。
その子供達は紛れもない、幼い時の俺とアイツ。
楽しそうに舞い散る桜を追いかけている。
(そういえば、桜の花びらをたくさん集めた方が勝ちだと、馬鹿な競争もしたな)
あの頃はまだ何でも信じ、疑うことも知らず、無邪気だった。
桜の花びらが地面に落ちる前に捕まえられれば幸せになれる、という言葉を信じて必死に捕まえようと走り回った。
桜の花の方が花びらよりも幸せになれると、花びらに紛れて花のままで散っていく桜を必死に探していた。
いつからだろう
いつから俺たちは、そんなことじゃ“幸せ”なんてモノは得られないと
そんなものは、所詮儚い夢であって、“幸せ”なんてすぐに散ってしまうものだと
一体いつから知ってしまったのだろう。
(否、“俺たち”じゃなくて“俺”だけか)
“大人になるということは、幻想を賢さと取りかえる事だ”と何かで読んだが、その通りだと思う。
本当は、幻想を見続けていたかったし、そんな賢さならいらないと思うけど、どうも時の流れってやつはそれを許してはくれないらしい。
幻想はおのずと賢さに掻き消されていく。
昔はそんなこと、これっぽっちも考えたことなんてなかった。
このまま大人になっていくんだと、このままでいられるんだと思ってた。
桜吹雪の向こうから、幼いアイツが走ってこちらにやってくる。
『俺も末期だな』
自嘲しながら呟いたが、自分の幻想なんだから別にいいだろうと割り切った。
幻想くらい好きにさせてほしい。
「何やってんの?こんなところで」
目の前にやってきた幼いアイツ、ではなく、今のアイツを見て驚いた。
それは幻想のそれではなく、現実のそれだったから。
『……お前、こそ、なんでこんなとこにいんだよ』
「たまたま、かな。桜が見頃だってテレビで言ってたから見に来たの」
「それにしてもすごいね~」と言いつつ舞い散る桜の花びらの中をくるくると手を広げて回る。
『……ガキ』
「何を~~~!」
俺の小さなつぶやきが聞こえたらしい。
眉を少し吊り上げるあいつに近寄って、その頭に手を伸ばす。
『ほら見ろ、ガキみたいな事やってっから……』
『「花びら付いてるだろうが/付いてるよ」』
俺がこいつの頭についた桜の花びらを取ってやると同時に、こいつも俺の頭に手を伸ばし同じ言葉を発した。
声がハモッたことに驚いていると、
目の前に俺の頭に乗っていたと思われる花びらを突き付けてくる。
「ほら。自分だってガキみたいな事してたんじゃないの~?」
『お前と一緒にすんな』
ニヤニヤ顔で言うこいつの頭に軽くチョップを落としてやる。
「ちぇ~」と言いつつチョップが落とされた頭をさする。
……別に痛くないだろうに。
「……でも、これで2人とも幸せになれるね」
『あ?』
「ほら、昔桜の花びらが地面に落ちる前にキャッチできたら幸せになれるっていってやってたじゃない。色々と」
こいつも憶えていたのか。
もう忘れているものだと思っていた。
『色々やってたのはお前だけだけどな』
「え~!だって“スーパーの袋持って走ればいっぱいゲットできる”って教えてくれたのそっちでしょ!?」
『……教えたけど、実践したのはお前だけだ』
「嘘の情報、どうもありがとうございました~」
久しぶりに会ったというのにこの憎まれ口のたたき合いだけは変わらないらしい。
その現実がおかしく思えた。
こいつも同じことを思ったらしい。
2人顔を見合せて、どちらともなく笑い合った。
「でもこれで、2人とも幸せになれるね」
『……は?なんだよいきなり』
「2人とも頭に乗った桜の花びらを取ったわけだから地面には落ちてないじゃない?ほら、幸せゲット!」
……こいつはどうやら要らぬ賢さというやつを身に付けてしまったらしい。
子供染みた事を言っているくせに、考え方は子供にあるまじき卑怯さがあるこいつに呆れると同時にどうやらツボに入ってしまったらしい。
俺は笑いを抑えることができなかった。
(ちょっと、何で笑うのよ!!)
(ハハ……いや、お前相変わらずバカだなぁと思ってさ……クククッ)
(何よそれーーーーーッ!!)
俺の視界には、舞い散る桜とその大元の桜の木、舞い散っている桜の舞台である道一本しか映っていない。
人っ子一人いやしない。
『桜、か……』
こんな幻想的な世界に一人取り残された気分に浸っていると、桜吹雪の向こうに幼い子供2人を見た。
否、正確には―――――視た。
その子供達は紛れもない、幼い時の俺とアイツ。
楽しそうに舞い散る桜を追いかけている。
(そういえば、桜の花びらをたくさん集めた方が勝ちだと、馬鹿な競争もしたな)
あの頃はまだ何でも信じ、疑うことも知らず、無邪気だった。
桜の花びらが地面に落ちる前に捕まえられれば幸せになれる、という言葉を信じて必死に捕まえようと走り回った。
桜の花の方が花びらよりも幸せになれると、花びらに紛れて花のままで散っていく桜を必死に探していた。
いつからだろう
いつから俺たちは、そんなことじゃ“幸せ”なんてモノは得られないと
そんなものは、所詮儚い夢であって、“幸せ”なんてすぐに散ってしまうものだと
一体いつから知ってしまったのだろう。
(否、“俺たち”じゃなくて“俺”だけか)
“大人になるということは、幻想を賢さと取りかえる事だ”と何かで読んだが、その通りだと思う。
本当は、幻想を見続けていたかったし、そんな賢さならいらないと思うけど、どうも時の流れってやつはそれを許してはくれないらしい。
幻想はおのずと賢さに掻き消されていく。
昔はそんなこと、これっぽっちも考えたことなんてなかった。
このまま大人になっていくんだと、このままでいられるんだと思ってた。
桜吹雪の向こうから、幼いアイツが走ってこちらにやってくる。
『俺も末期だな』
自嘲しながら呟いたが、自分の幻想なんだから別にいいだろうと割り切った。
幻想くらい好きにさせてほしい。
「何やってんの?こんなところで」
目の前にやってきた幼いアイツ、ではなく、今のアイツを見て驚いた。
それは幻想のそれではなく、現実のそれだったから。
『……お前、こそ、なんでこんなとこにいんだよ』
「たまたま、かな。桜が見頃だってテレビで言ってたから見に来たの」
「それにしてもすごいね~」と言いつつ舞い散る桜の花びらの中をくるくると手を広げて回る。
『……ガキ』
「何を~~~!」
俺の小さなつぶやきが聞こえたらしい。
眉を少し吊り上げるあいつに近寄って、その頭に手を伸ばす。
『ほら見ろ、ガキみたいな事やってっから……』
『「花びら付いてるだろうが/付いてるよ」』
俺がこいつの頭についた桜の花びらを取ってやると同時に、こいつも俺の頭に手を伸ばし同じ言葉を発した。
声がハモッたことに驚いていると、
目の前に俺の頭に乗っていたと思われる花びらを突き付けてくる。
「ほら。自分だってガキみたいな事してたんじゃないの~?」
『お前と一緒にすんな』
ニヤニヤ顔で言うこいつの頭に軽くチョップを落としてやる。
「ちぇ~」と言いつつチョップが落とされた頭をさする。
……別に痛くないだろうに。
「……でも、これで2人とも幸せになれるね」
『あ?』
「ほら、昔桜の花びらが地面に落ちる前にキャッチできたら幸せになれるっていってやってたじゃない。色々と」
こいつも憶えていたのか。
もう忘れているものだと思っていた。
『色々やってたのはお前だけだけどな』
「え~!だって“スーパーの袋持って走ればいっぱいゲットできる”って教えてくれたのそっちでしょ!?」
『……教えたけど、実践したのはお前だけだ』
「嘘の情報、どうもありがとうございました~」
久しぶりに会ったというのにこの憎まれ口のたたき合いだけは変わらないらしい。
その現実がおかしく思えた。
こいつも同じことを思ったらしい。
2人顔を見合せて、どちらともなく笑い合った。
「でもこれで、2人とも幸せになれるね」
『……は?なんだよいきなり』
「2人とも頭に乗った桜の花びらを取ったわけだから地面には落ちてないじゃない?ほら、幸せゲット!」
……こいつはどうやら要らぬ賢さというやつを身に付けてしまったらしい。
子供染みた事を言っているくせに、考え方は子供にあるまじき卑怯さがあるこいつに呆れると同時にどうやらツボに入ってしまったらしい。
俺は笑いを抑えることができなかった。
(ちょっと、何で笑うのよ!!)
(ハハ……いや、お前相変わらずバカだなぁと思ってさ……クククッ)
(何よそれーーーーーッ!!)
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また性懲りもなくやりました、『俺私(おれわた)シリーズ』
あぁ、また訳のわからない感じになってしまった……ッ!!orz
突拍子もなくこういうことするからいけないんですよね;
季節に合わせて桜ネタ。
僕の学校へ行く途中の坂が桜並木なんですが、ものっそいです。
桜の花びら舞い過ぎで、前が見えません←
きれいなんですけど、同時にかなり危険という……
「桜の花びらが地面に落ちる前にキャッチできたら幸せになれる」という話、
聞いたことがある方もいるんではないかなぁと思います。
僕も子供の時はそれを信じて必死に散っている花びらを追いかけました。
キャッチできた花びらや桜をしおりにしたりしたこともあります。
今思うと、子供って本当に純粋で単純だなぁと思ってしまう自分はもう歳なんでしょうか?(笑)
散っている桜を見るとその頃を思い出します。(……あ、これ完全に歳だ)
なんでこんな話を書いてみたした。
現在と過去の交差、みたいな感じで書きたかったんですが、難しいですね;
また性懲りもなくやりました、『俺私(おれわた)シリーズ』
あぁ、また訳のわからない感じになってしまった……ッ!!orz
突拍子もなくこういうことするからいけないんですよね;
季節に合わせて桜ネタ。
僕の学校へ行く途中の坂が桜並木なんですが、ものっそいです。
桜の花びら舞い過ぎで、前が見えません←
きれいなんですけど、同時にかなり危険という……
「桜の花びらが地面に落ちる前にキャッチできたら幸せになれる」という話、
聞いたことがある方もいるんではないかなぁと思います。
僕も子供の時はそれを信じて必死に散っている花びらを追いかけました。
キャッチできた花びらや桜をしおりにしたりしたこともあります。
今思うと、子供って本当に純粋で単純だなぁと思ってしまう自分はもう歳なんでしょうか?(笑)
散っている桜を見るとその頃を思い出します。(……あ、これ完全に歳だ)
なんでこんな話を書いてみたした。
現在と過去の交差、みたいな感じで書きたかったんですが、難しいですね;
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