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月灯りの下

闇の世界に差し込む光を追い求めて

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Q.今年の抱負はなんですか?-血塗れアリス編-

「?ホーフ?」

『Resolution……要するに、今年一年で成し遂げたいことや決意のことです』

「なるほど!アリスって物識りだね。んー、成し遂げたいこと~成し遂げたいこと~……アリス」

『はい?』

「アリスともっと出掛けたいというか、遊びに行きたい、かな~なんて」

『……私は殺し屋ですよ?』

「わかってるけど、友達なのは変わらないんだし、それも個人的には辞めて欲しいんだけどぉ」

『それは無理です』

「この頑固者」

『頑固者で結構です』

「そういうアリスは?」

『成し遂げたいこと、ですか?それは……、"意味"を見つけることですけれど、今年中に見つけられるかどうか……』

「?」

『かと言って、仕事を完璧にこなすというのも、成し遂げたいというか成し遂げなければならないことですし……』

「じゃあさ!決められないなら、アリスも私と同じホーフにすればいいんだよ!」

『同じ、ですか?』

「そ!去年よりももっと出掛けて、もっと遊びに行く!美味しいものとか食べに行こうよ!」

『……仕事の都合上、約束はできませんよ?』

「いいよ、成し遂げたいことだもん。願望も2人で願っていれば現実になるよ!」

『……そこまで言うのなら』

「うん!ありがとう!」

そして願わくば、彼女の仕事を辞めさせられますように……。





+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


"意味"については、また本編の方で出てきます。近いうちに。
アリスは超現実主義者、シエナは理想主義者だったりします。

4日連続短編連載(?)達成!!……よかった~、できて。←
次は長編に戻り、去年最後に上げそこねた「血塗れアリス」をアップします。
……まだ書き終えていませんが;(オイ)
その前に、機関誌に載せていただいたのを加筆修正したものをあげようか
迷っているので、そちらになるかもしれません。

4日間、お付き合いくださりありがとうございました!
優柔不断ですが、今年もよろしくお願いします。
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知りたい、

「あちゃー、遅くなっちゃったか~」

 もうすぐで夕暮れが見え始めるだろう頃。
 買い物を頼まれて出掛けたが、いつもよくしてくれるおばさんと、すっかり話し込んでしまった。まあ話し込んだと言っても内容は、ロルトさんはいい人だとか、ロルトさんは人気だから次の選挙はあの人で決まりだとかで、近々行われる選挙に向けて語られた、と言った方が正しいか。ロルトさんは最近人気がある政治家さんで、とてもいい人らしい。テレビで見たことがあるが、笑顔が素敵な人だったと記憶している。
 選挙近いし、一度ちゃんと調べておこうかな~と思いつつ、シエナは家路を急いだ。両腕に抱えた荷物は落とさないように。

「よし!近道しちゃおう!」

 そして、薄暗く細い横道に入った。が、それが間違いだった。

「……あれ?ここ、どこだっけ?」

 迷子になったシエナの頭には、引き返すという選択肢は用意されていなかった。さらについていないことに――――――

「あ、人だ!……すみませーん。ちょっと道に迷ってしまって――――――……」

 煉瓦の建物に囲まれた、先程よりも開けた道。
 見つけた人達は、一人を除いては皆、黒いスーツに身を包み、サングラス、黒い車をバックに話しをしていた。
 シエナが話しかけた瞬間、一斉に彼女を見た。

「……あれ?」

嗚呼、今日は(後編)

※流血表現あり



アイリスは部屋の奥へと進み、ポーチからプラスチック製の目覚まし時計のような箱を取り出し、木箱の上に置き、スイッチを押した。そのまま木箱に飛び乗り、天井に近付く。その間にベルトから拳銃を抜いておく。その天井には鉄格子、排気口があった。鉄格子の四隅を拳銃で撃つと、重力に身を任せて鉄格子が落ちてきた。四発撃ち終わった時点で、使った拳銃を捨て、排気口の中へとスルスル入って行った。その一連の動作は20秒もなく終了した。

彼女が入った部屋は、木箱が出鱈目に詰め込まれた、10人くらいならまだ入れそうな部屋だった。

アイリスは排気孔の中を歩腹前進で進んで行く。

5

男たちの声が聞こえる。

4

怒鳴り声、何か――恐らく木箱だろうが――を蹴る音。

3

あ、今の音、"あれ"が落ちたかな。

2

衝撃では作動しないから大丈夫だと思うけど。

1

でも、まあ、どちらにしろ――――――

『0』

爆発するのだが。

直後、爆音が響き、空気を揺らした。
アイリスは排気口の中で少し状態を起こし、鉄格子を蹴破り、脱出した。抜け出すアイリスの頭上を、黒い煙が通過して行った。
着地したのは廊下。進んだ時間として、先程の部屋からそこまで離れていない。

『嗚呼、埃だらけ。……後でお風呂借りようかな』

服とポーチの埃を払い、歩を進める。
アイリスは廊下を歩きながら、ホルスターから拳銃を抜いた。この先はトの字型になっており、直進の廊下には誰もいない。更にその先は行き止まり。不安要素は右手へと進む廊下。そこまでくると、壁に張り付き、様子を伺う。耳に神経を集中させるが、無傷な者の発する音は拾わない。姿を分かれ道へと曝す。
右手の通路は中間辺りの壁や床、天井が黒くなっており、そこにある部屋の扉はひしゃげて床に、数人の人と共に倒れ込んでいる。そこは先程爆破した部屋だった。
銃口を下に向けたまま、倒れている人へと近付く。小さく呻く人達。息はあるが、さすがに動けないようだった。

『…………』

アイリスは倒れている人達を順番に、一人につき銃弾一つで楽にしてあげた。
それが済むと、部屋の中を伺う。木箱は最初に入った時よりも数は減っており、乱雑さが増していた。入口付近に2人、まだ息のある男がいたため、廊下のときと同じように引き金を2度引いた。その後、アイリスは部屋と廊下に視線を往復させる。

『部屋に対してこの威力。……まあまあ、といったところですか』

そのまま部屋を出る。近くで生きている人間の気配は、

『………』

なかった。踵を返し階段へと向かう。

嗚呼、今日は(前編)

暗闇の中に浮かぶ大きめの屋敷。その門の前には見張りが2人。その中の1人がいきなり、倒れた。
仲間の異変に直ぐに気付いた男は、倒れた男に駆け寄った。そして、仲間が倒れた理由が額に開いた穴のせいだと認識したときには、自分の額にも穴が開いていた。
男が倒れ、重なり合うのと同時に、前方の木から葉と共に人が降りてきた。
その人物は、蒼い瞳に屋敷を映した。




嗚呼、今日は(前編)

※流血表現あり




そんな私は、

とある一室。
今となってはもう懐かしい、でも、もう戻ることは出来ない場所。


暖炉の前で揺り椅子に座り、黒い物の手入れをしている男性と、その隣に座っているのは――――――

「アリス、よく聞いてくださいね」

何ですか?……あの、どうしてそんな真剣で、哀しそうな瞳をしているんですか?

「哀しそう、ですか……。そうですね。――――――私は明日、警察へ行きます」

            ターゲット
え?どうしてですか?そこに標的がいるんですか?

「違います、仕事ではありません。……自首、するんです」

自首?自首って、確か、自分が悪いことをしたって言いに行くことですよね?

「そうです」

どうして?どうしてですか?

「アリスも立派になりました。私が貴女に教えられることは、これが最後です」

"これ"?"最後"?何のことですか?

「私はもう、仕事は出来なくなってしまいました。仕事が出来なくなった私が出来ることは、償いだけ」

"償い"?――――――嫌です。何で最後なんですか?もっと、色んなことを教えて欲しいです。恩返しだって、まだ……

「恩返し?」

私は、生きる術や殺しのこと、たくさんのことを貴方に教わったのに、私は、何も……まだ……

「なら安心してください。私は貴女から、とても大事なものをもらいました」

大事な、もの?

「このことにもっと早く気付いていれば、貴女にこの道を歩ませることは、なかったでしょうね」

……すみません。私には、おっしゃっている意味が判りません。

「今は判らないかもしれません。でもそれは、誰かに言われるものではなく、自分で気付くしかありません。そして、それを貴女に教えるのは私ではなく、別の誰かで、私が貴女にしてあげられることは、ヒントを見せることぐらいです」

"ヒント"?……自首することが、ですか?

「さすがは私のアリス。聡いですね。――――――さあ、もうお休みなさい、アリス。貴女が早く"それ"を知って、この世界から抜け出せることを祈っていますよ」

手入れが終わった、その人のお気に入りの拳銃を、私の手に乗せた。
そして、私の髪を、とても優しく撫でてくれた。

お休みなさい、師匠。
……さようなら。





翌日。
私が起きたときには師匠は既におらず、ニュースでは殺し屋が自首してきたと騒いでいた。
私は昨日言われたことを頭の中でグルグルさせながら、まるでそれを違う世界の出来事のように眺めていた。


もしもあの時、『一緒に行きたい』と言っていたならば、何か変わっていたのだろうか?
師匠は自首をやめてくれた?――――――否、あの人のあの目は決意した瞳だった。
なら、私がついて行ったら?――――――否、そんなことしたって意味がない。
自首したところで何の意味もないのだ、私にとっては。何も。
だから、この仕事をしているのだ、私は。


そして。
私は未だに師匠が自首した理由も、私に教えたかったことも、あの哀しそうな瞳の訳も、何一つ判らずにいる。

そんな私は、

今日も"この世界"を駆け抜けている。


(夜の森を進んでいくと、大きな屋敷が見えてきた。)
(あれが、今回の標的がいる屋敷……)
(グリーブスファミリー、か)

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