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月灯りの下

闇の世界に差し込む光を追い求めて

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DarkNumber-暗数-

女か    男か

被害者か   加害者か

生者か    死者か

人間か   化け物か


私達は、様々な境界線が交差する歪な世界で生きていた。





第一人格   快音
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もしもの話をしようか

『なぁ』
「んー?」
『もしも、もしもさ。私があの時みんなの言うことを聞いて待ってたら、どうなってたかな』
「あー、俺は間違いなく今この世にいないな。どっかでおっちんでた」


『もしも、私が戦に出てたこと、もっと早くに話してたら、どうなってたかな』
「俺としては、もっと早くから話しといてほしかったんだけどォ?」
『だって戦に出るの止められてたし、知ったら怒るだろ。じゃあ、もしもずっと黙ってたら』
「説教2、3時間×3人」
『………ほらみろ。じゃあ、もしも私がお前と出会ってなかったら、どうなってたかな』
「まあ、退屈だったろうな」


『……もしも、さ』
「さっきからもしももしもって、電話ですかー」
『もしも、私が』
「無視かコノヤロー」
『ここに、いなかったら』
「………」

『もっといい方向に、色々なことが、変わってたかな?少なくとも、みんな、傷付かずにいれた、かな』
「………」
『あ、すまない。変なこと聞いた。今のは忘れてくれ』

「………悪ィな」
『?何が』
「そのもしもは、考えられない、というか、考えたくないわ」
『お前……』
「お前がいない今なんて、ありえない。たとえどれだけ間違った道を選んでいようと、俺はお前がいる今に続く道を、お前が進んできてよかったって思ってる。もしあの時、あの場所で、俺達が出会わなかったとしても、どこかで必ず出会ってるはずだ。だから、どんな"もしも"を考えたって構わねェけど、そんな"もしも"は考えんな。お前がいないと生きた心地しねェ、とか思ってる俺まで否定されてるみたいじゃん」
『………』
「あっれ~、否定されてるわけ?俺」
『べ、別に、否定してるわけじゃ……』
「なら、返事」
『……わ、かった。考えない』
「ん、よろしい」
『……極力』
「Σ極力かよ!!……この道を選んだのはお前だけじゃねェ。俺達は自分達で好き勝手に選んで、ここまできた。だから、お前が自分を責めることはねェんだよ」
『……うん』


 それでもやっぱり、みんなを守れない自分が赦せない。
 この優しい人も、たくさん傷付いた。躯だけではなく、心が一番傷付いてる。
 けど、それでもあなたが私を必要と言ってくれるのなら、


『まだ、やれる』


 まだこの世界で生きて行ける。
 たとえ、この手を多くの命で濡らしたとしても……。


『まだ、戦えるよ』



もしもの話をしようか




「ま、戦えなくなったら俺が守ってやるよ」
『そういうことは私より敵を討ってから言うんだな』
「何言ってんの?同じくらいだろ?そんな変わんねェじゃん?」
『……ま、私より少ない方が、こっちとしては意味があるんだが』
「?何て?」
『別に』


 二人の鬼は、血をたっぷりと吸い込んだ屍の地を後にした。





+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++





突発的に書きたくなってしまった訳の分からない、夢モドキの短文です。
相手は『銀魂』の銀時で、時代は攘夷時代。
「説教2、3時間×3人」は、銀時・桂・高杉の3人です。

永遠の縁

「はぁ……、も、やだ……」


――この時、オレは知らなかった。


「~♪」

溜息を盛大についた浮かない顔の少年の前から、鼻歌を歌いながら歩いてくる人物がいる。


――オレの身に起きている原因も、


その人物は白いロングコートを身に纏っている。


――彼女との出会いも、


少年もその人物もお互いに意識せずに歩を進める。
そして、


――そして、


少年とその人物はすれ違った。


――オレが見ているこの世界は


「~♪…………ん?」

鼻歌と共にその人物は歩みを止め、振り返る。


――ほんの一部でしかなかったということに……。


少年は歩き続ける。
今し方すれ違った人物が、自分のことを見つめているとも気づかぬまま。



                  長編小説
『永遠の縁』

隔たり


                ひと
世界は自分たちと大きくかけ離れた者を排除しようとする。
      か ら
それは自分の世界を守るための手段。
その人たちは"正常者"なのだ。

             ひと
そして世界から排除された者たちが"異常者"。
"異常者"は、自分が"異常者"だとは気付かない。
   か ら
自分の世界が当たり前だったのだから。
だから自分が"異常"だと気付いてしまった"異常者"は、"正常"な世界では生きられない。
生きてはいても、死んでいる。
生きている心地なんて、しない。
   いろ
世界に彩を感じないのだから。

                  いろ
"異常者"は"異常"な世界にいて初めて、彩を感じ、生きていると感じる。
"正常"な世界の視点とは少し違う、いつもとは全く違った世界。
そんな危なっかしい世界でしか、"異常者"は生きていけない。
         せ い
そんな世界でしか、快楽を感じないのだから。


だから"異常者"たちは"異界"を求める。
   いばしょ
自分の世界を欲して、
   しあわせ
自分の快 楽を欲して、
   せい
自分の命を感じたくて、
  いじょうなせかい
自ら"危ない橋"を渡るのだ。

彼の下に流れ行く雲

熱を持たない、冷たいフローリングの床に寝転がる。
窓の外に目をやると、昨日までの雨が嘘のような青空と白い雲たちが映る。
ぼうっと空を眺めていると、雲が風に流されていく様がよく分かる。


今、自分が眺めている雲は、風に流されて何処へ行くんだろう?


彼の下にも流されて、彼の目にも映るのだろうか?


映ったとしても、同じ形ではないかもしれないし、その可能性の方がかなり高い。
それならそれでもいいと思う。
まぁ形が変わってしまっては、どれが件の雲かなんて分からなくなってしまうという問題点は捨てきれないが、形が変わっていても、
『私が見ていた雲』という事実に変わりはない。

―――――私がその雲を見て、彼のことを想い考えていたことに変わりはないんだ。


ちゃんと空、見てるのかな。


そんなことを思いながら、瞼を閉じる。
胸に、記憶に、まだ残っている温もりを感じながら、
冷たい床に私の体温は奪われていった。


(私は、戻ってきたんだな。この冷たい、冷え切った私のセカイに)
(あぁ、冷たくて気持ちいい)
(やっぱり私は、暖かいセカイでは溶けてしまうみたいだ)

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