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月灯りの下

闇の世界に差し込む光を追い求めて

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只今、張込み捜査中!

「オイッ、止まれ!!」
「ハッ、止まれと言われて止まるかバーカ!!」

夜の暗い路地をベタ過ぎる応酬をしながら、男の背中を追いかけて走る。

どうも、初めまして。
俺は、新米刑事・秋木竜志。

「ンのッ!!」

ただいま逃走中だった強盗集団の一人を追跡中です。
……って、暢気に自己紹介してる場合じゃない!
この暗い路地の道に慣れているのだろう犯人は、すいすい進んで行ってしまう。


ヤバイ!早く捕まえなければ、俺が先輩に殺される……ッ!!


男が曲がった路地を俺も追って曲がる。

「チッ!まだ追ってくるのかよ!」

俺が追ってくるのを確認した男はそう吐き捨てたが、前に視線を戻した時に目に映ったものを見て、きっとチャンスだと思っただろう。
男の目の先には、コンビニの袋を手にぶら下げて、キョロキョロと辺りを見回す少女。

「オイ、そこのガキッ!!」
「?」

男は少女の首に腕を回し、頭に持っていた拳銃を突きつける。
少女が持っていたコンビニの袋は、重力に任せて地面に落ちた。

「オイ!止まれェ!このガキがどうなってもいいのか!!」
「ゲッ」

男はこちらに振り向き、勝ち誇ったような顔をしている。
俺の顔はきっと"顔面蒼白"ではなく、"顔面白白"になっているだろう。


やってしまった。


「ハッ!いいか、こいつの命が惜しけりゃ追ってくるんじゃ――――――」
「おい」

男に銃を向けられていた少女が口を開く。
そのことで男の気が逸れた。


嗚呼、もう終わったな、


「あ?」
「誰が―――――……」


あいつ
犯人と、


「ガキだ――――――――――ッ!!」


俺―――――


左手で頭に突き付けられた銃を持つ男の右手首を、右手で男の胸倉を掴んだ少女は、腰を落とし勢いをつけ、
そのまま背負い投げを決めた。
本当なら、ここで左手は離してはいけない、

「ちょ、ま……ッ」

……はずなのだが。

「ギャ―――――ッ」

あろう事か、少女は俺目掛けて男を投げつけた。

「ふぅ、まったくいきなり何するんだ」
「それはこっちのセリフっスよ、」

少女は体に合わない、少し大きめのロングコートの埃を払う。

「先輩」

男の下敷きになったままの俺を、少女が鋭い目で睨む。

「うるさい。犯人に逃げられた奴が何を言うか」
「……すいまっせーん」

それを言うなら、張り込み中に腹が減ったとコンビニに行っていた先輩にも非があると思うが、後が恐いので黙っておく。

この人は、俺の先輩兼上司である女警部・水成詩夢。
先ほどから"少女"と言っているように、身長は150cmぐらいで本人も気にする童顔だったりする。
しかも年齢不詳ときているものだから、たまに自分より年下じゃないのかと疑いたくなる時もある。

先輩は溜息をつくとコンビニの袋を拾おうと腰を落とした。
……というか、助けて欲しい。
男は伸びてしまったらしく、動かない。
その時「あーッ!!」と先輩が悲鳴をあげた。

「わ、私のパフェが……」

コンビニの袋から覗くのはコンビニに売っているこじんまりとしたパフェが容器の中で哀れな姿になっていた。
というか、

「何で張り込み中にパフェ買ってくるんですか。定番は焼き蕎麦パンとかそんなのでしょ。せめてもうちょっとお手軽に食べれるモンにしましょーよ」
「うるさい!!私が食べるものは私が決める!」

先輩はコンビニの袋と拳銃を拾い上げ俺に近付き、懐から出した手錠を男にかけて時計を確認する。

「……2時18分、犯人確保。秋木、車に連れて行くぞ」
「うーっス、って先輩何してんスか?」
「んー?……おお、あったあった」

ようやく男の下から這い出した俺は見てしまった。
犯人の懐をまさぐって引き抜かれた先輩の手には財布が握られている。

「ちょ、先輩!?」
「パフェの弁償代だ。きっちり返してもらわんとな」

財布から金を抜きながら「チッ、湿気てんな」と呟く先輩は鬼だと思う。
そもそも、湿気てなかったら強盗なんてしないだろう。
そんなことを考えてると僕の目の前にコーヒー牛乳が差し出される。

「先輩、これ……」
「ん?コーヒー牛乳。これはさすがに無事だったぞ」
「え、いやいや!そういうことじゃなくて!」
「好きだろ?」
「……いいんですか?」
「私、嫌いなんだよね」

つまりそれは俺のために買ってきてくださったという訳で……


前言撤回します。
いい人だ、この人……ッ!!


……まあ、犯人の首根っこ掴んでなければ、だけど。

「よし、じゃあ署に帰るよ」
「あ、はい!」

先輩はそのままズルズルと犯人を引きずって歩き出した。

「・・・・・・・・・・せんぱーい、そっちじゃないっスよー。車」
「・・・・・・・・・・さっさと案内しろ」

先輩は結構な方向音痴だったりする。
さっきもコンビニ行った帰り道に迷って犯人に遭遇したんだな、きっと。

「こっちっスよ」

俺は苦笑しながら先輩を車まで誘導した。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

どうも、渡月です!


新米刑事・秋木竜志と先輩警部・水成詩夢の警察コンビ。
多分シリーズ化すると思います。←
と言っても、いつも通り、ちょこちょこ書くぐらいですが、結構設定とか考えてたりしてます。

そして、推理物好きなくせにトリックとか考えるのがものすごく苦手という最大の欠点から、
そういったシーンは、多分きっと全くほとんど出てこないと思います。
警察物でそれはいいのか!?と思うものの、そこまでの頭が無いので仕方ありません。(オイ)
そのあたりご了承願いします。


おまけとして、
読んでくださった方の中で気付かれた方もいると思いますが、

このクソ暑い季節に詩夢警部、ロングコート着てます。

実はこの話、冬には出来上がってたんですが、中々上げる機会がなくて
ここまで流れてしまいました;
(変なおまけ話でスミマセン……!)


それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。
次回もまた機会があれば、彼らをよろしくお願いします。
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