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月灯りの下

闇の世界に差し込む光を追い求めて

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ベタな展開

「あー、楽しかったな!プール」

な、嵐?と、隣の友人に声をかける。仏頂面でこう返ってきた。



は?どこが?何が?
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只今、追跡中!

『どのデザートにしよっかな~。ねえ、秋木くんはどれがいいと思う?』
「先輩が食べたいので」
『答えになってないんだけど。でもほんと迷っちゃうな~。全部買ってこうかな?』
「持って帰れません、歩きなんで」

 今、俺達はコンビニに来ている。きっかけは先輩の『何か甘いもの食べたくない?デザート的な』の一言だった。
 デザートって何のデザートなんだ?もう夕方なんスけど……。

「歩きといえば、なんか最近引ったくりが頻発してるらしいっスね。しかもスーパーやコンビニを出た人を狙ってるとか」
『歩きといえばどうかはさておき、そうらしいわね。でも、どうしてそんなとこから出てきた人を狙うのかしらね?財布を持っていることは確実だけど、たいていの人は持っているだろうし。お金使った後だから、少なからず手持ちも減ってるでしょうに』

 確かに……。

『……それはそうとして、引ったくられたときのことも考えて、容器ものは避けるべきよね。捕まえるまでに大変なことになるから』
「え、そこっスか!?」
『そりゃね。いつぞやのパフェの二の舞なんて御免だもの。ん?……あ、これにしようかな!"紅茶シュークリーム"だって!』
「へぇ、珍しいっスね」
『ね。クリームが紅茶味だなんて珍しい。よし、君に決めた!』

 目をキラキラさせながら、どこかで聞き覚えのある台詞を言う先輩は、端から見たら子ども以外の何者でもないのだろう。こう見えても、俺の上司で警部なのだ。

「決まったんなら会計に行きますよ。午後の休み終わっちゃいますよー」
『君さ、最近私を子供扱いしてないかい?……ん?ちょっと、秋木くん』

 レジへ向かおうとしていた俺のスーツが引っ張られる。

「なんスか?」
『あれ』

生きることと遺すこと

「何かを遺さないとさ、生きてる意味がないっていうか、生きてるんだから、その証拠を残したいじゃん」

誰かがそう言った。俺は『ふーん』と流した。

だって俺は、そうは思わなかったから。

嗚呼、今日は(後編)

※流血表現あり



アイリスは部屋の奥へと進み、ポーチからプラスチック製の目覚まし時計のような箱を取り出し、木箱の上に置き、スイッチを押した。そのまま木箱に飛び乗り、天井に近付く。その間にベルトから拳銃を抜いておく。その天井には鉄格子、排気口があった。鉄格子の四隅を拳銃で撃つと、重力に身を任せて鉄格子が落ちてきた。四発撃ち終わった時点で、使った拳銃を捨て、排気口の中へとスルスル入って行った。その一連の動作は20秒もなく終了した。

彼女が入った部屋は、木箱が出鱈目に詰め込まれた、10人くらいならまだ入れそうな部屋だった。

アイリスは排気孔の中を歩腹前進で進んで行く。

5

男たちの声が聞こえる。

4

怒鳴り声、何か――恐らく木箱だろうが――を蹴る音。

3

あ、今の音、"あれ"が落ちたかな。

2

衝撃では作動しないから大丈夫だと思うけど。

1

でも、まあ、どちらにしろ――――――

『0』

爆発するのだが。

直後、爆音が響き、空気を揺らした。
アイリスは排気口の中で少し状態を起こし、鉄格子を蹴破り、脱出した。抜け出すアイリスの頭上を、黒い煙が通過して行った。
着地したのは廊下。進んだ時間として、先程の部屋からそこまで離れていない。

『嗚呼、埃だらけ。……後でお風呂借りようかな』

服とポーチの埃を払い、歩を進める。
アイリスは廊下を歩きながら、ホルスターから拳銃を抜いた。この先はトの字型になっており、直進の廊下には誰もいない。更にその先は行き止まり。不安要素は右手へと進む廊下。そこまでくると、壁に張り付き、様子を伺う。耳に神経を集中させるが、無傷な者の発する音は拾わない。姿を分かれ道へと曝す。
右手の通路は中間辺りの壁や床、天井が黒くなっており、そこにある部屋の扉はひしゃげて床に、数人の人と共に倒れ込んでいる。そこは先程爆破した部屋だった。
銃口を下に向けたまま、倒れている人へと近付く。小さく呻く人達。息はあるが、さすがに動けないようだった。

『…………』

アイリスは倒れている人達を順番に、一人につき銃弾一つで楽にしてあげた。
それが済むと、部屋の中を伺う。木箱は最初に入った時よりも数は減っており、乱雑さが増していた。入口付近に2人、まだ息のある男がいたため、廊下のときと同じように引き金を2度引いた。その後、アイリスは部屋と廊下に視線を往復させる。

『部屋に対してこの威力。……まあまあ、といったところですか』

そのまま部屋を出る。近くで生きている人間の気配は、

『………』

なかった。踵を返し階段へと向かう。

嗚呼、今日は(前編)

暗闇の中に浮かぶ大きめの屋敷。その門の前には見張りが2人。その中の1人がいきなり、倒れた。
仲間の異変に直ぐに気付いた男は、倒れた男に駆け寄った。そして、仲間が倒れた理由が額に開いた穴のせいだと認識したときには、自分の額にも穴が開いていた。
男が倒れ、重なり合うのと同時に、前方の木から葉と共に人が降りてきた。
その人物は、蒼い瞳に屋敷を映した。




嗚呼、今日は(前編)

※流血表現あり




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